インディゴ染色には、世界中で3種類のタイプの機械が稼動しているようです。
一つ目は、スラッシャー染色機と呼ばれるタイプです。
これは、シート染色機とも呼ばれ、生地になる全経糸を平行に出来るだけ平らになるように並べて機械に通して染めていきます。
現在、日本では使われていませんが、中国では設置されています。
以前、作業した経験がありますが、高品質の染め糸を期待するのは難しいです。
特に両端と中央部分との色差が、顕著にでる可能性があります。
また、染色中1本でも糸が切れると、後の処置にかかる作業はとても大変なことになります。
中国の工場でも、多くの問題を抱えているようです。
尚、この機械の特徴は、染色、糊付けを一台の機械でやってしまうので工程が少なくてすみます。
ある意味、小回りが利くということになろうかと思います。
二つ目はループ染色機と呼ばれるものです。この機械の最大の特徴は同じ染色槽を何度か通るということです。
つまり糸が進む過程で、ループ状になります。
これにより染色槽の数が少なくてすみ、設置場所の節約になります。
この機械も、通常は糸をシート状で染め、糊付けまで続けて行います。
ただ、この機械だと、シート状の糸が何重か重なりあって厚みができるため、ロープ状での染色の絞りと同じような状態になります。
ですので、後術するロープ染色機で染めたツラと同じようなイメージになります。
三つ目は現在世界中でもっとも設置台数が多いロープ染色機です。
製品の品質においてももっとも安定していると思います。
ただ、糊付け工程と染色後の分繊工程が別に必要になります。
また、染色槽などの槽の数にもよりますが全長が40メートルからそれ以上になるので設置場所が大変です。
また、入口から出口までの糸が通る距離が400メートル以上になりますので、染色中何らかのトラブルで機械が停止すると莫大なロスにつながります。
ところで、工場によって、このロープ染色機の稼動条件が大きく異なります。
例えば、ラインスピードは、平均、1分間に20メートル前後ですが、早い工場では、30メートルから40メートル。逆に、遅い所で、10メートル、と工場間で大きな差があります。
また、一度に染める糸量も違います。平均的には二幅分を同時に染めているようですが、三幅分を染める所もありますし、一幅分だけの所もあります。
もちろん、前処理槽、染色槽、後処理槽の数も異なります。
特に、染色槽は、その工場の顔になる色に影響しますので、数はもちろん、大きさ(容量)や循環方法まで大きく異なっています。
糸を絞る圧力も、また、ゴムの硬度、糸が通るロールの形状、糸にかかるテンションの負荷も、同様に、工場によって異なります。
余談になりますが、日本の工場の現場の作業員の多くは、ユニホームあるいは汚れても構わない服装で作業するのが普通ですが、あるヨーロッパの工場では、白衣でした。
これにはとても驚かされました。
まるで研究者といった位置付けだったのでしょうか。 |