ジーンズの色

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Denim dyeing with Indigo dyes


ジーンズの色



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 ジーンズの色ってどんな? 答えはもちろん、そうです。
インディゴブルーです。
でも黒とかもあるんじゃない? そうなんです。
最近はカラージーンズと呼ばれるものもあります。
ただ、アメリカから日本にジーンズが上陸し国産ジーンズが認知されるまでの間は、ほとんどがインディゴブルーだったと記憶しております。
その後、差別化商品の一つとしてブラックジーンズが登場し、そして、カラージーンズが染められるようになってきました。
もちろんカラージーンズは、草木染めの位置付けでもあります。
ですので、今までのジーンズの色の歴史からみてみると、やはりインディゴブルーが基本です。
ジーンズの色=インディゴブルーというわけです。
因みに、世界中で使われている染料の色別の使用量をみると、一番多く使われている色はブラック系で、次にインディゴブルーだそうです。
もちろん、このインディゴブルーは、ジーンズの染めに使われているインディゴ染料です。
この世の中にはいろんな色がありますが、単品の染料でこれほど大量に使われているのは、とても珍しく凄いことのようです。
ここで少しジーンズの生産本数について見てみましょう。
一昔前、日本人のジーンズの保有本数は、一人当たり0.4本、ヨーロッパ人は1.2本、アメリカ人は1.7本。
もちろん、今はもっと増えていると思います。そしてこの当時の国内染色総生産量は社内推定で月に約13万反位だと予想していました。
これを1幅分の生地の長さに直すと、130,000×50メートル=6,500,000メートル。
続いて製品1本あたりの縫製に必要な生地の長さを1.3メートルで計算すると、6,500,000÷1.3=5,000,000。
つまり、一ヶ月にジーンズ500万本分が日本国内だけで染色されていたことになります。
これって、凄いです。毎月ですよ。
もちろんこのうちの半分以上は輸出に回っていたと思いますが。
いずれにしても、とても恐ろしくなる数値です。
誰がこんなに毎日毎日購入してはいているのか不思議でしかたありません。
もっとも私はジーンズが好きではなくほとんどはかないので、こんな疑問を持っていたのかもしれません。
因みに、インディゴ染料の使用量は、私の仕事場だけでも毎月10トン前後はありました。
ところで話を戻しますが、なぜジーンズの基本の色がインディゴブルーなのか?
言い方を変えると、なぜ人々にインディゴブルーという色がこんなに受け入れられるのか?
これは、今の時代だけではありません。かなり時代をさかのぼりますが、よろいかぶと、そうです。
これらにも、インディゴブルー(藍染め)で染められた糸が多く使われています。
これは、カチ染めという弦を担いでの意味もありますし、また、大量に藍の栽培が可能だったということもあったと思います。また、虫除けの効果もあったと思います。
しかし、なぜドイツのバイエルがとても危険で多額の初期投資が必要なインディゴの合成に成功し事業化したのか?
これは、インディゴブルーという色が人々の目を引き付ける何かを持っている、ということからきていたのではないでしょうか。
ご存知の方は多いと思いますが、藍染めでもインディゴ染めでも、基本的には酸化還元反応の繰り返しになります。
つまり、染める液に糸や製品を入れて、数十秒後に取り出し、絞り、そして空気中にさらす。
これを繰り返し行い、染め上がりの色を少しづつ濃くして染めていきます。
ここで話が少しややこしくなりますが、インディゴ系の染料を使って染めた場合は、糸の表面には染料が付き易いのですが中まではなかなか入っていきません。
ということは、インディゴ染料で染めた糸や製品を洗うと、表面染着が多いのと、糸の中まで染まっていないのとで、染料が部分的に脱落しやすく、脱落した部分が白くみえてきます。
つまり、脱落していない部分は濃く黒っぽくみえ、脱落した部分は白く、中間部分は、きれいな青味にみえるようになります。
このコントラストが、ジーンズ独特の表情、つまり、立体感を生み出す効果となっているのです。
この独特の表情は、他の染料ではなかなか出せません。
ですので、このことによって、ジーンズ人気の一つの大きな要因になっているのは間違いありません。
ところで先ほど、インディゴ系という記述をしました。そうなんです。糸の中まで染めないようにできる染料はインディゴ染料の他にもあります。
しかし、何度も繰り返し染めていくという染法は、私が知っている限り一部の草木染め以外、他に知りません。
一旦乾燥させてもう一度染めて濃くするということはあるでしょうが。
私は在職中、いろいろ染法を考案し色出しし、ユーザーの方々に楽しんでもらいました。
その中で一番印象に残った色・染法は、ブルーブラックです。
これは、リアルブラックという名称での売り出しでした。
お得意様からこんなブラックは染められないか、という生地見本を頂き、挑戦しました。
その当時もちろんブラック染めは行っていましたが、どうしても見た目が浅く、また、洗うとかなり染料の脱落が激しく、安っぽいものになっていました。
インディゴ染めの機械でこれだけ深いブラックを出すことは容易ではない。
いろいろ考えていたある日、目の前にちゃんとヒントがありました。
なんで気が付かなかったのか。
そこで、すぐ試験染めの手配をし、挑戦しました。ちなみに、気付いたのは処分する予定のクズ糸からでした。
この後、この色で染められた生地は、大量生産され国内はもちろんヨーロッパやアメリカにも輸出されていきました。
私が印象に残っているのは、そんなこの色が華々しいデビューをしたということより、もっと忘れられないことがあるんです。
それは、ある日、得意先の方から、この色が色ブレしているので、すぐ来てくれということでした。
不安を胸に東京まで出張しました。
染め糸で確認する限り問題ないと思っていたのですが、やはり不安です。
ヨーロッパで起きたクレームなので半端では済まない。
そして、早速、見本をみせられました。なんとそれはブルージーンズ3本です。
唖然としましたが、でもそれはすぐ、読めました。
この色はもともとブラック色として開発したのですが、深みのブラック色を出すには、どうしても青味が必要になってきます。
そこで、インディゴ染料を併用したのです。見た目は深みのあるブラック、そして、洗い込んでいくと、青味の強いブラック。決して安っぽいグレイにならない、そんな色を出したつもりでした。
ところが、ユーザーの方がいろいろ洗い方を研究し、このブラックデニムをブルージーンズにしてしまったのです。
「ジーンズ業界はこれなんだ!」「常識というものは、存在しないんだ!」
このことをまざまざと否応なく待った無しでみせつけられ、その後の色出しへも大きく影響したのです。
この頃からでしょう。染色工場で複雑な染法が開発されると、それに輪をかけたように洗い工場でも加工が複雑に施されていったのは。
しかし、多くの人々にジーンズが受け入れられる要因の一つに、このような常識外の複雑な技法で顔作りがされていることが挙げられるのではないでしょうか。
しかし、常識外って恐ろしいですね。
最近のジーンズの中には、1ヶ所100円程度の加工賃で、わざと破ったり穴を開けたりして販売しているのですから。
しかも1本1万円以上もする値段でですよ。本当にまったく信じられない世界ですね。
もっとも、そんなはじめから破れている製品を何万円も払って買う人がいるのも信じられませんけど。
私は常々排水処理の問題さえクリアできればブラックの染めはブルーに匹敵するぐらいの生産量を確保できるのではないか。こんなことをいつも思っていました。
人間の目って不思議ですね。
ブルーとブラックの染め糸を並べて見るとよくわかるのですが、ブルーの糸は色が冴えてみえ、ブラックは深みのある赤味のないとても落ち着いた色にみえてきます。
お互いに相手の色の良さを際立たせているということなのでしょう。
つまり、両方の色がどんな場所でも、そしていつも共存すれば、必ず受け入れてもらえるはずだと。
ところで、インディゴは単品の染料ですが、必ず、話題になるのが、色味です。
必ずといっていいほど言われます。
「赤味にフレた色は要らない、染めるな、黒味にしてくれ。」 間違いなく、赤味は嫌われ、黒味の色が好まれます。
インディゴ染料で染められたブルーは、他の染料では出せない黒味のしかも深みのある色が出せます。
この黒味で、なおかつ、深みのある色、この色が、人間の目に、とても穏やかでそしてやさしく映ってみえているのではないでしょうか。
これは日本人だけでなく、目の色が違う他の人たちの目にも同じように映ってみえていると思います。
つまり、全世界でブルージーンズがこよなく愛されているもっとも大きな要因に、この穏やかで、そして、やさしさを秘めたブルーが染められている、ということが挙げあれるのではないでしょうか。
私は今でも強くこのように思っています。
ちなみに藍染めは、ピュアインディゴ染料で染めた色よりもっと落ち着きがあります。



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