ジーンズの洗い

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ブリーチアウト
(脱 色)


ジーンズの洗い加工

フェード色
(ツヤインディゴによる2回染め)


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 ジーンズの洗い加工は、ジーンズの顔を表現するもっとも重要な工程になります。
     
私が中学生のときは東京で寮生活をしていました。
寝るときも食事も勉強もすべて1年生から3年まで大部屋で生活していました。
母は縫製業を営んでジーンズを扱っていたこともあって、よく先輩や友達にとGパンを寮まで送ってくれていました。
それをプレゼントすると、みんな、風呂場で束子を使ってひざやももの辺りを擦っていました。
その当時、今のような洗い加工は施されていなかったので、自分で好きなように洗い込んでいたようです。
先輩たちは、風呂の中にはいたまま入り、束子で擦っていました。
もちろん下級生は見て見ぬふりです。
その後、川原で石を拾い集め、ジーンズと一緒に洗うようになったと記憶しています。
硬くてゴワゴワしたジーンズを軟らかくして、はき易くするのが目的の一つでしたが、はき古したイメージが表現されたジーンズを愛用したいという若い人たちの気持ち、つまり「カッコイイ」という魅力が当時あったのでしょう。
もちろん、この流れは、ジーンズの製造においても多くのジーンズの愛用者においても、今でも引き継がれているように思います。
     
今、ほとんどのジーンズ製品には「洗い加工」が施されていますが、私の若いころは、「洗い加工」の施されていない硬くてゴワゴワした製品が売られ、はいていました。
そのため、股間が擦り切れたり、白の下着が青く汚染したりと、ジーンズのイメージはかなり悪いものでした。
その後、アイビールックと言われるようなファッションが流行り、重くて硬いジーパンよりも、軽くて軟らかいチノパン(チノクロスパンツ)が台頭するようになりました。
もちろん、当時もジーンズの愛用者は多かったと思いますが。
     
ところでジーンズが日本で誕生して、ワンウォッシュからはじまり、ストンウォッシュ、ブリーチアウト、ケミカルウォッシュ、バイオウォッシュ、ダメージ加工へと、時代とともにジーンズの洗い加工は変化してきました。
ジーパンの軟らかさ、はき古した感がベースで、ジーンズは、そしてその「洗い加工」は、今でも時代の流れと共に受け継がれていますが、いずれにしても今後のジーンズの成り行きは、洗い加工の出来栄えで決まるのでしょうね。
余談ですが、軟らかさ、履き心地から、伸縮性と弾力性に富んだストレッチデニムという生地が長く続いています。
これからも、この生地で製造された「のびのびジーンズ」は、特に年配者に広く受け入れられるのでしょう。
     
ジーンズの洗いには、主に次のようなものがあります。
@ ワンウォッシュ
普通洗いとも言われ、微温湯で10分程度洗います。
A ストンウォッシュ
石洗いとも言われ、研磨石、軽石などを製品と一緒に入れて洗います。
B ブリーチ加工(ブリーチアウト)
酸化剤、還元剤等の薬品を使って、短時間でインディゴ染料を分解させ、色をうすくします。
つまり漂白です。
     
ボタンやファスナー、リベット等の材質に注意が必要です。
     
C ケミカルウォッシュ
軽石などに、酸化剤(主に次亜塩素酸ソーダが使わ れています。)をしみ込ませ、製品に加工します。
還元剤が使われることもあります。
     
D バイオウォッシュ
要は減量加工のことで、酵素を使って加工します。
この加工によって生地が柔らくなります。
また、生地の表面がストンウォッシュしたような「当たり/アタリ」感が出ます。
     
E ダメージ加工
砂を高圧で剥がしたい部分に吹き付けたり、ナイフで破ったり、穴を開けたりする加工です。
F その他
洗うということではありませんが、オーバーダイ、プリント、抜染などもこの洗い加工の工程で、行われることがあります。
     
このように洗い加工の工程では、さまざまな加工を施して、ジーンズの顔を作り上げていきます。
つまり顔に化粧をするといった感じです。
今では整形外科的なこともやっているようですが。
染める側からすれば、故意に、色を落とされあるいは剥がされるので、何とも複雑な気持ちになります。
「お宅の染めは少し落ち易いのと違う?」とか、逆に「落ち難いから洗い加工が難しいよ!」とか好き勝手なことを言われます。
ほっといてくれ、と言いたくなります。
そこは、グッ、と涙を堪えて我慢です。
しかし、ジーンズの世界はこういったもので、必ず洗い工程で顔に化粧を施します。
ジーンズ以外の商品では、色を変えて、見た目を変えることはありますが、あまり激しい化粧をすることはないと思います。
言い方を変えると、それだけインディゴブルーの色あるいは染め方には特異性があり、単品の染料ですが奥が深く、それ故、長い伝統あるいは技能・技術が今でも受け継がれているのでしょう。
     
ところで、この洗い加工は、私もかなり経験し、その間に新しい染法も、また変わった加工も開発してきました。
ですので、このホームページで書いて記録として残しておきたい気持ちはあるのですが、読者の方々には口説くなるような気がしますので、別のサイトでということにしようと思っています。
因みに、この洗い加工が終了すると、プレス → 検品 → ラベル付けが行われ、出荷、そして販売ということになります。
尚、このページをもって、ジーンズの製造工程の話しを終わりにしたいと思います。





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